Q 利息の約束がないと利息は請求できない?
A どちらか一方が商人(会社)の貸借の場合、利息の約束がなくても、年6%の商事の法定利息を請求できます。また、売買代金の場合、支払期日までは利息債権は発生しませんが、支払期日を過ぎると債務不履行による損害賠償として年6%の遅延損害金を請求できます。親戚、友人間の貸借の場合、あらかじめ利息の約束がないと無利息となります。ただし、期限を決めて催告し、支払わない場合は年5%の遅延損害金を請求することができます。
Q お金の借主が死亡したときの対応方法は?
A 債務者が死亡した場合は、その債務は相続人に相続されることになります。たいていの場合は、被相続人(死亡した人)の財産(遺産)があるでしょうから、その中から支払ってもらうことになります。しかし、財産がない場合も考えられます。財産がなければ、相続人に各相続人の相続分に応じて請求することになります。ただし、債務が多いことを理由に相続の放棄や限定承認といった手段を相続人がとることがあります。相続放棄の場合は、相続放棄をしなかった(または次順位)相続人への請求、限定承認の場合は被相続人の財産の範囲で債権回収をすることになります。
Q 保証人に請求したら覚えがないと言われたが?
A 一番望ましい保証の取り方は、保証人と債権者が対面して保証人の印鑑を押してもらうことです。それができない場合は、保証人に電話連絡をし、保証の意思確認をとり、かつ書留等で保証人になってもらった旨のお礼を述べておくことです。
債務者が勝手に保証人の印鑑を使って契約書に押したというのであれば、私文書偽造罪になります。保証人と債務者との関係が親兄弟、親戚、友人等であれば、罪人を出すよりはお金を払うケースが多いと思われますので、これを武器に話し合ってみてください。
Q 有価証券を譲渡担保として取りたい
A 譲渡担保とは、債務者に担保となる財産の占有・利用をさせ、債権者に所有権を移転させる担保です。一般に、譲渡担保は、機械、商品などの動産について利用されていますが、株式、手形、社債、倉荷証券といった有価証券についても、多用されています。
譲渡担保として取るには、譲渡担保契約を結び、「担保のために〇〇の有価証券を譲渡する」旨を定めておくこと、それに証券の引渡しを受けておくことです。約束の期限までに債務が支払われれば、その有価証券は債務者に返還することになり、支払いがないときは有価証券を処分して自分の債権の支払いに充てます。 (残余部分は債務者に返還します)
Q 店頭や倉庫にある商品を担保に取れるか?
A 取引先に不動産や機械などの担保物がなく、あるのは店頭にある商品や倉庫にある商品しかないというケースもあります。商品は、売れば減少し、仕入れがあれば増加するというように、流動的で、目的物の特定が問題となります。これは商品に限らず、加工のための原材料、仕掛品などについても同様です。最高裁は、変動する集合動産についても、その種類、所在場所および量的範囲を指定するなど何らかの方法で目的物の範囲が特定できる場合は、1個の集合物として譲渡担保の目的物となるとしています。(昭和54年2月15日判決)
商品等を譲渡担保として取るときは、譲渡担保契約を結び、商品の種類、保管場所、補充義務、公示札を取り付けるなどの事項について規定を設け、商品等の特定ができるようにしておくことが必要です。
Q もらって手形が不渡りになったときの対応は?
A 手形は、売買代金の支払いのためや借入金の返済のためなど、何らかの原因があって振り出されます。この元になるものを原因債権といいます。この手形の支払いを受けるために、取引銀行へ手形を支払呈示しますが、この支払いが拒絶されることが不渡りです。手形が不渡りになっても、振り出しの原因となった債権は消滅するわけではありません。(手形を代物弁済として受け取った場合は別です。)ゆえに、手形が不渡りとなったら、手形の振出人と話し合い、どのようにして債権を払ってもらうか交渉することが必要です。話し合いがまとまらなければ、裁判を起こして回収を図ることになります。
Q 民事再生法を申し立てた会社の抵当権は実行できない?
A 取引先の会社が、会社更生の申立てをすると、更生開始決定後は担保権の実行は、原則として禁止されています。しかし、民事再生法では、原則として債権者は再生手続きとは関係なく、勝手に担保権を実行できます。したがって、抵当権は別除権とされており、再生手続きとは関係なく行使できます。ただし、工場の土地建物に関しての抵当権のように、経営上必要な財産については、裁判所に申し立てて許可を得た上で、その財産に相当する金銭を裁判所に納入することにより、担保権を消滅させることができることになっています。